【借地権】借地人が条件と違う建物を建てたら違反?

借りた土地には、借地契約に基づいた建物を建てなければなりません。約束と違った種類や構造で建築した場合、「用法違反」となり、それを理由に借地契約が解除されることもあります。

それでは、用法違反と考えられるケースについて、いくつかお話していきます。

◆木造住宅ではなく鉄筋構造の住宅を建てる

旧法の借地権において、非堅固建物(主に木造)は20年以上、堅固建物(鉄筋コンクリート、石造、ブロック造、レンガ造など)は30年以上と建物の構造によって契約の存続期間が違います。つまり、「木造を建てる」という条件で契約を結んだのに鉄筋コンクリートや鉄骨の住宅を建てると用法違反にあたります。

また、旧借地法では、構造について特に取決めをしなかった契約においては「非堅固を建てる」と見なされるため、木造以外だと違反ということになるでしょう。

ちなみに、平成4年8月1日から施行の新法借地権では建物について「堅固・非堅固」の区別を設けていません。

◆一般住宅を建てる契約だったのにお店を建てる

借地契約では、建物の種類や構造などを契約時に取り決めていることが多いです。住居用の建物なのか、営業目的の建物なのかについても特約として定められているのが一般的です。

地主さん側にしても、その目的によっては地代を変えたいのは当然のこと。そのため、居住用という約束のはずが店舗ビルを建てるなどすれば、契約の定めに違反していると捉えられても仕方がないでしょう。仮に特約で定めがないケースだとしても、地主に不利益をもたらす場合には契約解除ができると考えられています。もし、一般住宅から店舗に建て替えるのであれば、建て替えの承諾とは別に、建設物の内容許可を得ることが必要です。

◆駐車場として借りた土地に住宅を建てた

駐車場として借りる土地は「建物を建てない」のが前提です。そのため、建物を所有しない目的で地主さんが貸したにも関わらず、住宅を建設した場合には著しい契約違反と考えられるでしょう。この場合は、契約を解除されても仕方がありません。

◆簡易的な建物のはずが構造のしっかりした建築物を建てた

簡易的なプレハブなどを建てるために一時的に土地を貸すケースがあります。プレハブなど、誰がみても「一時的な使用だ」と分かる場合、存続期間や更新についてなど、借地借家法で適用とならない規定が多くなります。しかし、借地人が当初の契約の用途に違反し、しっかりした建築物を建てると契約書の内容がどうであれ「一時使用でない」と客観的に判断されることにもなりかねません。これにより、地主側に不利益をもたらした場合、信頼関係が損なわれ、契約解除の要因ともなります。

◆まとめ

借地契約では、地主と借地人との良好な関係が大事です。借地人が、当初の契約内容に反した使い道をすれば、地主の信頼を裏切る行為に価します。紛争が起これば、法に基づいた判断がされますが、それがきっかけとなって今後の関係性に微妙な亀裂が入るかもしれません。

地主に不利益をもたらす用法違反は契約解除の原因にもなるので、借地人が建築や建て替えをするときには問題が起こらないような注意が必要です。